先日、近くの海洋高校で開催されたノルウェーの漁業についての講演を聴講してきました。ノルウェー大使館の方を招いて行われた講演会では、ノルウェーの水産業について、関わる法律や機関、漁業者が守るルールなど大変おもしろい話が聴けました。
しかし、わたしがこの日一番心に残ったのは、地元の漁業者の方との質疑応答でした。
かみ合わない質疑応答
地元の漁業者の方から、このような質問がありました。
「商品価値の低い小さなサバが獲れたときは、どのようにしているか。加工食品などにしているのか?」
ノルウェーではサバ漁が盛んです。ノルウェーのサバ漁は、漁期が10月から12月のみと決まっており、この時期にしか漁を行わないそうです。
漁獲するサイズも決められていて、単価の高い大きなサバのみをとるようにしているそうです。
講演者の方によると、高性能なソナーの使用と網目のサイズを工夫することで 大きなサバのみを獲るようにしているそうです。
わたしは漁業の方法にはあまり詳しくありませんが、高性能なソナーで大きなサバを狙い撃ちし、さらに網目を大きくすることで、小さなサバが入らないようにするのだと解釈しました。
ここで再び前述の漁業者の方の質問です。
「商品価値の低い小さなサバが獲れたときは、どのようにしているか。加工食品などにしているのか?」
この質問に対し、講演者の方はこう答えました。
「ノルウェーでは小さなサバは獲りません。」
この答えに漁業者の方は、意味が分からないという顔をしていました。
小さなサバが混獲されないなんてことはないだろう。
大きなサバだけを獲るなんてできるわけないだろう。
そんな表情でした。
講演者の方は漁の詳しいやり方を何度も説明してましたが、最後まで漁業者の方は納得していませんでした。
わたしはこのやり取りを聞いて、日本の漁業を変えていくのは大変だなと感じました。
おそらくこの地元の漁業者の方は、自分の知らないやり方を想像することが難しいのだと思います。 職人のように仕事をしてきたので、仕方のないことだとは思います。
ただ今後、日本の漁業が世界に追いついていくためには、このような現場の漁業者の方に根気よく説明をして理解を得ていかなければいけません。これは大変だなと感じました。
講演会を聴いて
この質疑応答も含めて講演会自体は非常におもしろく、日本の現状が少し分かったような気がしました。
わたしも日本の水産業にほんの少しだけ関わる身として、できることをしていかないといけないなと感じました。