わたしは、東北地方の水族館で獣医師として働いています。
子どもの頃から生き物が好きで(わたしの場合は熱帯魚が好きだった)、将来は生き物に関わる仕事をしたいと思っていました。
そんな中、高校生のときに見た将来の仕事選びに関する本で、水族館で勤務する人たちのことを知りました。
そのなかに、水族館で働く獣医師という記述を見て、水族館にも獣医がいるんだなあと率直に思い、獣医になればもし水族館に入れなかったとしても(そのころから水族館は狭き門だというのは何となく知っていた)、将来にわたって生き物に関わる仕事はできそうだと感じました。
それがわたしの場合の水族館獣医師を目指したきっかけです。
この記事では、水族館で飼育員(獣医師含む)として働くためには、どうすれば良いか、どのような学校へ行けば良いかといったことを紹介したいと思います。
目次
1.獣医師になる
水族館にも動物園と同じように、獣医師が勤務していることが多いです。
水族館の多くは、魚だけではなく、イルカやアシカ、ペンギンなどのいわゆる海獣類と呼ばれる生き物を飼育しています。
このような動物の健康管理のために獣医師が必要です。
また、最近では魚にも手術をしたり、超音波検査をしたりといったいろいろな医療行為を行うことがあります。
そのため、昔は獣医師がいなかった水族館も獣医師を採用するようになったり、1人しかいなかった水族館にも2人、3人と複数勤務するようになったりと、水族館で勤務する獣医師の人数は少しずつ増えています。
獣医師になるには、全国に17ある獣医系の大学(獣医学部とか獣医学科のある大学)に入って6年間学んだあと、獣医師の国家試験に合格する必要があります。
獣医大学は6年制です。同じように6年制の大学は医学部や歯学部、薬学部など人の医療に関わる大学がありますが、入学に必要な学力(入試の偏差値)も同等に近いものが必要です。
獣医師の国家試験は6割とれば合格で、合格率は80%以上(現役だと90%くらい)あります。
獣医大学へ入り、大学でちゃんと勉強すれば獣医師免許をとることができます。
ですので獣医師になりたい方は、とにかく獣医大学に受かるよう、勉強を頑張りましょう。
2.水産、海洋系の大学を卒業する
水産学部や海洋学部といった、海や魚に関連した大学を卒業した後で飼育員になっている方が多くいます。
大学によっては、多くの水族館飼育員を輩出しているところもあり、このような大学ですと、同じく水族館を目指す同級生や先輩・後輩もいて、情報交換などができるでしょう。
大学は後述の専門学校と比べると、動物の飼育など実践的な経験は大学は少なくなりますが、水産・海洋などのその大学の専門分野の知識を幅広く体系的に学ぶことができます。
そのため、水族館の役割の1つである「研究」という面から考えると、大学を卒業していること有利だと思います。
水族館によっては、研究に力をいれているところもあり、そのような水族館では大学院を卒業した方や、働きながら博士号を取得した方もいます。
また、水族館に無事に入れれば良いですが、水族館の就職はやはり狭き門ですので、水族館に入れずに一般企業に就職するときのことを考えるとやはり大卒のほうが・・・という打算的なこともメリットの1つかもしれません。
3.専門学校を卒業する
トレーナーやアクアリストを養成する専門学校が国内にはいくつかあります。
そのような専門学校では、2年間で実際の生き物を使って実習をしたり、日本動物園水族館協会が発行する飼育ハンドブックを利用して、動物の飼育方法を学んでいきます。
専門学校へ行くメリットとしては、実際の飼育の知識や技術が身に着けられることのほかに、水族館の就職情報などが手に入れやすいということがあります。
周りの同級生が同じように水族館を目指していることが多いため、同級生の間で情報交換もできますし、学校と水族館とのつながりから実習なども行きやすくなります。
注意点として、専門学校にもいろいろな規模の学校があり、たくさんの種類の動物を学校で飼育しているところもあれば、動物を飼育しておらず、実際に触れ合えるのは2年間通って数えるほど、というところもあるようです。
ぜひ、体験入学や見学会を利用して、学校の様子を見ておくことをおすすめします。
4.その他
もちろん、上記のような、海洋系や魚類、動物などに特化した学校に通っていない方でも、水族館の採用試験に合格し、飼育員として働いている方はいます。
ですので、もし普通の大学に通っているけど、水族館で飼育員として働きたくなったという方がいれば、大学を辞めて専門学校へ入り直すよりは、まず実習などでいくつかの水族館へ行ってみて、飼育員の勤務状況や、普通の学校からでも採用してもらえるかなどを水族館へ聞いてみると良いと思います。
水族館側としても、水族館にはない視野を持った方は魅力的だと思いますので。
まとめ
今回、水族館で飼育員として働くための方法として、どのような学校へ行けばよいかということに焦点を当てて解説しました。
水族館飼育員を目指している、高校生以下の方にはぜひ参考にしてもらえればと思います。
また、すでに大学生や社会人だけど、水族館で働くことに興味があるという方にとっても何かの参考になるかと思います。